聖地巡礼・旅行Tips

京都の穴場スポット 静寂な雰囲気が最高「無鄰菴」

京都の穴場スポットは?
と聞かれて皆さんは即答できるでしょうか。

そもそも穴場スポットとは、「人にあまり知られていない、よい場所のこと」
と定義されています。
つまり、京都の、人があまりおらず、でも観光としての名所がある場所はなかなか遭遇することは難しいのです。
京都に観光に出たあなたは、人混みが凄すぎてがっかりされた経験があるでしょう。
かくいう、私がそうでした。

個人的に私は人混みが苦手です。
京都の八坂神社の前の祇園通りなど、人混みにあふれている場所にはあまり近寄りたくないと考える人間です。
けれど、探せばあるのです。
人がおらず、静寂の空気の中に京都を見つけられる、そんな穴場なスポットが…

そんな穴場スポットを少しずつ紹介していきます。

静寂な空気を楽しめる「無鄰菴」へ

地下鉄東西線の蹴上駅を下車後、改札から右に出てインクラインを横目に
仁王門通りの坂道を下っていくと、広い疎水場にたどり着きます。
右手には琵琶湖疎水記念館があり、正面には大きな噴水(?)が。
ここには南禅寺船溜り乗船場があり、船の上から京都を眺める遊覧が楽しめるのですが、
本日の目的はその乗り場から道を渡って左手にある「無鄰菴」です。

仁王門通りから細い路地に入り込んだところに入口があり、
少しわかりずらいのですが、分かりずらいゆえにあまり観光客がまばらで
静かにお庭を楽しむことができます。

無鄰菴ってなんぞや、と思われる方もいらっしゃると思いますが、
ぐぐると以下の説明が出てきます。

無鄰菴は山縣有朋の別邸で七代目小川治兵衛の作庭。 「無鄰菴」と名付けられた山縣邸は三つある。最初の無鄰菴は山縣の郷里、長州・下関の草庵である。名前の由来はこの草菴に隣家がないことによる。

公式HP→http://murin-an.jp/

はい、説明通り”お庭”でございます。
ですが、ただのお庭ではございません。
現在京都市が保有する国指定の名勝庭園です。
国指定、と銘打っておりますので手入れが行き届いている非常に美しいお庭です。
所有者であった「山縣有朋」さんは明治時代の陸軍軍人、政治家さん。
内務大臣、内閣総理大臣、元老、司法大臣、枢密院議長、陸軍第一軍司令官、貴族院議員、陸軍参謀総長などを歴任した人物です。

入場料の410円を支払うと、水玉模様がかわいい無鄰菴の名刺(?)のようなものを
いただけるのですが、この名刺がまたかわいらしい。
くるっと裏返すと

中に一きは目だちてあはれふかきは雨のけしきなり

という言葉が。

私が訪れた日は、あいにく雨模様で残念だなぁと思っていたのですが、
なんともにくい一言です。一気に気分が晴れやかになりました。

中に入ってみるとなるほど。とても美しい景色が広がっていました。

びっくりしたのは、電線建物系の雑多な景色が一切目に入ってこないこと。
お庭の詳しい説明は洋館の方で拝見できるのですが、
そこにはかなりこだわった剪定手法を用いて、景観を損なわないよう並々ならぬ庭師の努力がある、とのこと。
なるほど。本当に世界から切り取られたかのような雰囲気はそんな職人さんの努力があって、なのですね。

そして見てください。
ひとっこ一人おりません。

私が訪れたのは4月の第2週、京都で桜が満開となった週の午前中。
まぁ、朝一の人気のいない一番いい時間帯だったから、かもしれませんが、
桜が咲き誇る時期に、こんな京都の穴場スポットを見つけられて内心ウハウハでした。

本館の方でお庭を眺めながらお抹茶をいただくこともできます。(お抹茶代500円でした)

 

見事な苔。
相当お手入れしないとここまで綺麗な苔は保てません。

雪柳がかわいらしい…
満開でした。

ツツジ科のアシビ。馬酔木とも呼ばれます。
その形状は、スズランに似て可愛らしく、たわわに塊になって咲きます。
雨の水滴を受けてみずみずしく咲き誇っておりました。

お庭には洋館がありまして、
日露戦争勃発時、日本の行く末を決定した「無鄰菴会議」を再現した展示も行っておりました。

当時の伊藤博文や桂太郎らがこの椅子に座って議論をしていたのでしょう。
壁もしつらえも重厚感があって素敵です。

山縣有朋の庭園観が素晴らしい

春はあけはなるる山の端のけしきはさらなり。
夏は川どのにすみわたる月の涼しさ。
空きは夕日のはなやかにして紅葉のにほひたる。
冬は雪をいただける比叡の嶽の窓におちくる心地して、
折々のながめいはむかたなし。
中に一きは目だちたるあはれふかきは雨のけしきなり。

ここまで見事なお庭の成り立ちには、所有者だった山縣氏のこだわりがあったから、とのこと。
↑の文章はそんな山縣氏が残したこだわりポイントなんですけど、
いやぁ、いい…
枕草子の表現も好きですけど、この率直な受け取り方、素晴らしい…
で、山縣氏はこの別荘で一番贅沢な風景は「雨のふっている風景」と考えていたようで、
自分が訪れた日取りがちょうど雨でしたので、一番この「無鄰菴」を楽しめる日にこれたのだなぁ…と感慨にふけってしまいました。

確かに、お庭を歩いていたら、雨がしとしとと降る音が聞こえ、
苔が水にぬれて春のにおいをまとわせていて、
お庭に流れる川と池に住んでいる鯉が心なしか楽しそうで、

ここは現世とは違う空間なのだと

そう錯覚してしまいそうな空間でございました…

当初、そんなに滞在する予定はなかったのですが、
あまりにお庭が素晴らしすぎて、
ぼーっと縁側に座って雨の音を聞いていたらいつの間にか時間が経っており、
お昼近くになって人がちらほらと現れたのでお庭を後にしたのですが、
ここで体験した時間は本当に格別な時間を過ごせたと思っています。

まさに静寂の中の京都を味わうには申し分のない空間ですので、
是非お時間に余裕を持たせて訪れてほしい特別な穴場スポットです。